関東で釣る人へ!釣果が早い!中スポ釣りナビ

HOME

船宿訪問

深川「冨士見」石嶋一男親方に聞く 東京都江東区

2019年01月09日

店前で親方とニッコリ2ショット。次回は釣りか屋形船でお伺いしますね!

 みなさん、こんにちは!「第2代アングラーズアイドル」のそらなさゆりです。私が「東京中日スポーツ船蝶会」の船宿さんを訪問する毎月第2水曜日の連載「そらなさゆりがおじゃましま~す」の第17回は深川「冨士見」の石嶋一男親方(81)です。冨士見さんといえば江戸時代から続く老舗船宿で、実は私もキス釣りでお世話になったことがあります。屋形船でも有名ですね。ちゃきちゃきの江戸っ子、親方から歴史を感じる興味深いお話をたくさん伺いました。

◆釣り船15隻 屋形船8隻の大所帯

 そらな 冨士見さんは老舗だけあって船数が多いですね。
 石嶋一男親方 そりゃ~創業が江戸末期だからね。今は釣り船が大きいのから小さいの合わせて15隻、屋形船は8隻くらいかな?何せ、うちが一番古いよ。俺は五代目になるんだけど、初代は侍で西郷さんに危うく身を切られるとこだったらしいよ。無血開城のおかげで、それは避けられたけどな。うちのオヤジの話によると、その後、船宿を始めたそうだよ。
 そらな 西郷さんが出てくるなんて歴史を感じます。壁に掛かっている版画は昔の冨士見さんですよね。
 石嶋親方 そう、これはうちの宝。近所の人が「冨士見さんが載っているよ」って持ってきてくれたんだよ。大正末期ごろ彫られたもので本物は深川図書館にあるんだよ。このころ店は富岡2丁目にあったんだ。明治になって今の場所に移ってきたんだよ。
 そらな それはそれは、貴重な版画。この絵では「ふじ見」と記されてます。
 石嶋親方 そうだね。今は漢字で「冨士見」となったけど。この「冨」という字には意味合いがあるんだよ。富士山は神様の山。同じ漢字は恐れ多くてそのまま使えないということで、点をとったこの字を使うことになったらしい。ご先祖さんは、そういう奥ゆかしさがあったんだねぇ。
 そらな 昔は、どんな方がいらしたんでしょうか。
 石嶋親方 江戸城から馬に乗ってやってくるお客さんもいたそうだよ。
 そらな へぇ~なかなか興味深いお話です。親方は、いつから船に乗っているんですか?
 石嶋親方 初めて船をこいだのは、小学校4年ぐらいのころだよ。お台場まで1時間かけてこいでいった。
 そらな 昔と今ではかなり釣りも変わったでしょうね。
 石嶋親方 昔の釣りを知っている人は、もうほとんどいないだろう…。今の釣りだったらルアーとかがあるけどな、昔はみんな餌釣りだからね。シバエビってあるだろ?あれは芝浦でとれるから、その名がついたんだよ。これがウマくてねぇ。俺の子どもの頃は海の色が変わるほど固まって群れがいたんだよ。東京湾では、大きなケタ船っていって、今でいうウタセ船みたいなもんだけど、それでエビ漁をやってたんだ。その当時でエビは1匹1円だよ。とれないときは1円50銭。高いよ、生きてるからね。それを100~150匹ぐらい買ってクロダイやコチやフッコを釣ったんだよ。俺は、このころ親から釣りを教わったね。
 そらな 親方は、すでに家業を継ぐことが決まっていたんですか?
 石嶋親方 俺は姉が1人いるけど、3人兄弟の長男。物心ついてきて高校生になった頃、「なんで俺は日曜でも休めないのか…」って気付いたんだよ。友達と出掛けたいから、明日どうしても休みたいって頼んでも、絶対に行かせてもらえなかった。日曜は人手が足りないから仕方ないんだ。
 そらな それは、お気の毒でしたね。高校はどちらへ?
 石嶋親方 俺は学校へ行く気はなかったんだけど、姉が勝手に近くにある都立第三商業高校へ願書出したんだよ。朝は仕事を手伝っているから定時制に行ったんだけど、先生は厳しかったね。俺が居眠りしてると、黒板消しが飛んできた。それが隣のヤツに当たっちゃってよぉ、そいつが真っ白になっちまったよ(笑)。ちなみに高校では皆勤賞だった。
 そらな 親方といえばハゼ釣りというイメージですが、他に何かあれば教えてください。
 石嶋親方 そうだな~。難しい釣りはボラ釣りだったな。ギャング釣り(引っかけ釣り)は誰でも釣れるんだけど、あえて餌で食わせて釣るんだ。ボラは、あんな大きなずうたいなのに口がちっちぇえんだよ。餌はゴカイよりも軟らかいバチっていうやつ。アタリは微妙でね。とうとう俺もマスターできなかったよ。
 そらな ボラの食わせ釣りなんて初めて聞きました。ところで休日は何をされているんですか?
 石嶋親方 休みなし。こんだけ船があるから、手入れしているよ。
 そらな 冨士見さんには、いろんなお客さんがいそうですね。
 石嶋親方 ベテランも多いけど、夏の夕釣りは子ども連れも多いよ。女性も昔に比べたら増えたね。
 そらな 最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。
 石嶋親方 昔ながらの古典的な江戸前の釣りをやっているのは、うちぐらい。腕のいいお客さんも多くて、釣りの勉強にもなるから、ぜひ一度、お越しください。
<船宿メモ> 「冨士見」=(電)03(3641)0507。乗合はシロギスと予約制のLTアジへ出船中。火曜定休。
<交通> 東京メトロ東西線か都営大江戸線の門前仲町駅で下車。徒歩10分ほど、電話にて送迎あり。また送迎はないがJR京葉線・越中島駅(3番出口)からだと徒歩12~13分。他に都バスも利用できる。車の場合は道が複雑なのでファクスしてもらうと安心。無料駐車場完備だが台数に制限があるので事前予約が無難。
<取材後記> 久しぶりに冨士見さんにお邪魔。西郷さんや馬で来るお客さんの話、江戸前の釣りのことなど、他では聞けない珍しいエピソードが聞けて面白かったですね。歴史の勉強にもなりました。立派な屋形船もステキです。何かの集まりで利用させてもらおうかなぁ。生粋の江戸っ子らしい親方の話しっぷりも聞いていて楽しかったです。

冨士見さんにある屋形船の中で一番大きな「北斎」。最大収容人数は120人だそうです

こちらが釣り船!もっかキスとLTアジに出船中です